ガイアポリス共鳴

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感想「シュガードロップ・ブレイクアウト」

from 無銘774 様

フリー版から入って、「これはものすごい作品だ」と感激してシェア版を買った次第です。
休日だったため、今日一日を使ってフルコンプ。未だに興奮醒めやらぬ中、拙い文章ながら感想を書かせて頂きます。

以下、ネタバレを含みますので未プレイの方はご注意ください。

■シナリオ
文句なしの高品質です。
柔らかみを感じる美しい文章がすいすい沁み込んできて大変読み易かったです。

そして、インモラル要素のある作品なので当然暗く重たい話になるのですが、不思議とその仄暗さが心地良く感じました。
暗いのに甘い、という矛盾する筈の二つが見事に溶け込んで独自の空気感を出していたと思います。

描写についても、キャラの暗部に触れても全く嫌味にならず、必要な要素だけを汲み出して上手に文章を組み立てている印象が有りました。
15禁シーンでも婉曲的な表現を用いているので必要以上のいやらしさは全く感じません。

特筆すべきは心理描写。
こちらが非常に丁寧で、思わず入り込んで泣いてしまったシーンも多々あります。

話の主軸であるロディスとマーゴットの恋愛模様については、もう中盤辺りから「頼むから早くリア充になってください」と願うばかりという絶妙な距離感。最後の最後に結ばれて、本当に良かったです。ここまで応援したくなるカップルは中々いない……。

■グラフィック
とても味のある魅力的なイラストが、立ち絵ではなく全編CGでばんばん繰り出されます。
なんでも作画枚数は差分含め1200枚を越えるとか……その労力と試みに、ただただ脱帽です。

その甲斐あってか映画的な雰囲気がとてもよく出ており、「次はどんなCGが見られるのだろう?」という期待感からも話を読み進める手が止まりませんでした。

■サウンド
BGMはコーラス曲が多めに取り入れられているのですが、中々耳に残ります。
どれも素晴らしい出来で、大変世界観とマッチしていたのではないでしょうか。
聞けば聞くほど良さが分かる気がします。

エンディング曲の歌詞「貴方が教えてくれたの」にはそれまで積み重ねてきたストーリーの重みも有って感涙。
良質な楽曲と演出のお蔭で、素晴らしいエンディングになっていたと思います。

効果音も状況に応じて細かく挿入されるので、臨場感たっぷりでした。

■システム
同人ゲームの中でもかなりレベルが高いのではないかと思います。

標準のシステムは勿論のこと、カメラ機能(別名:マーゴット様撮影会)やツイッターと連動してつぶやけるシステム等、独自性があって尚且つ便利な機能が搭載されています。

最大の特徴であるストーリーマップは、何だかパズルを当て嵌めていくようで埋めるのが楽しかったです。
主人公以外の視点がこういう形で補完されるのもゲームという媒体ならではですね。

■キャラクター
たくさんキャラクターが居るのですが、その中からメインキャラと気になったキャラをピックアップして語らせて頂きます。

・マーゴット様
その健気さと一途さに、全プレイヤーが泣いた。
あまりの不憫さに「もう何もかもを捨てて城を飛び出すルートはないのか!!」と必死に選択肢を見返してみたりしました。

どこまでも純粋で素直で、自然と応援したくなるキャラだったので中盤以降の彼女を見ているのは本当に辛かったです。
しかもトゥルー以外のエンドは殆ど死んじゃうので、尚更……。
マロゥの初恋が実って本当によかったー……!!

・ロディス
なにか裏があるなぁとは思っていましたが、中々に淡白で野望に燃える方でした。そのギャップに萌えます。
それでもさじ加減が絶妙なので全く嫌味に感じないのは流石だなぁと思います。

メインストーリーを読んでいて一番気になったのが彼の本心、マロゥに惹かれる過程だったので、そこがサイドストーリーでとても丁寧に描写されていたのが良かったです。

・ジェラルド
姉によく似てとっても健気……!
子犬のような言動や仕草が愛らしく、暗い話の中での清涼剤になっていたと思います。
ジェラルドが出てくるとほっとしますもの。逆にパパンが出てくると「ヒィッ!」となっていた覚えが。

・エリン
最萌えのキャラです。
彼を攻略できないと知った時はとても切ない気持ちになりました。読了後は「攻略出来たらいろんな問題が有り過ぎる、仕方ない」と納得した訳なのですが……!

ビジュアルや寡黙な性格が好みドストライクで冒頭の膝枕から既に惹かれていたのですが、ジェラルドを刺したところで完璧に落とされました。
いや、恋に落ちる個所が壮絶に間違っているかもしれませんがこういう不器用で極端な人って大好きなのです。

ヘタレには違いないんですが、何というかこう、愛すべきヘタレです。
大変美しくお若く見えますがいったい年は幾つなのでしょうか……気になります。

・ゲオルグ
冒頭から登場するたびにハラハラドキドキさせられたキャラです。
ある意味ヤンデレかもしれないパパン。

徐々に娘に溺れていくさまには「あぁあああああ……」と痛ましさを感じました。

でもなんだか憎めないんですよね。マーゴットが中々離れられない気持ちもわかります。

・ユーリ
「天使の証」と「怱々デイズ!」、そして本作でしか彼を知らない訳ですが、なんかもうこの子の性格すごく好きです。いかにも「王子」って感じで。
渡り鳥のリメイク、とっても楽しみにしています。

■総括
大変面白かったです。ここまで夢中になってプレイしたゲームも久しぶりのような気がします。
話もシステムも、全体的にプレイヤーへの配慮やサービスを感じられ、大変好感が持てる作品だと思いました。
もっと評価されるべき名作です。

シュガドロはフリー版がありますので気になったら是非プレイしてみて下さいませ!
苦手な要素がなければきっとシェア版が欲しくなるはずです。

そしてシェア版クリアのあとは続編にあたる「リ・エンゲイジ」もプレイして頂けると更にほっこりするのではないかなぁと思います。

こちらではその後の話が深く掘り下げられていて、切ない展開もありますがプレイ後は「本当によかったねマロゥ……!!」という気持ちでいっぱいになること請け合いです。