ガイアポリス共鳴

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感想「渡り鳥の門は遠く sing again」

from 無銘774 様

今回も大変素晴らしいものをプレイさせて頂いたので、長文感想を書かせて頂きます。
※今回はなるべくネタバレ部分を伏せました。

・シナリオ

地の文が美しいなぁと毎度思います。心理描写や風景描写が丁寧で、すごく情景が伝わってきます。柔らかくて優しい手触りを感じます。

序盤辺りはまったりとプレイしていましたが、中盤からはハラハラドキドキしながら読み進めました。

現実を知り、自分の無力さを知り、大人になっていく過程が痛ましくもあり成長が喜ばしくもあり……複雑な心境でした。

楽して大人にはなれないって、正に至言だと思います。
悔しい思いをして、恐怖に立ち向かって、それでもまだ子どもだと思い知らされる2人。

しかし後半はヒロインである某キャラがとにかく可愛くて「絶対に護ってあげなきゃ!」という気にさせられました。すっかり感情移入してしまったというか。

そしてBADエンドに行ってしまった時のあの衝撃と言ったら……!!

優しく穏やかで、陽だまりの中のような世界の残酷な裏側がちらほら垣間見え、緊張感を覚えつつプレイしてしまいました。少しでも選択を誤ると、誰かが死んでしまうので……。

そして次の衝撃はまさかの……彼が登場。本当に不意打ちでビックリしました……。
更に、再登場の仕方がまたずるい。かっこよすぎる。

仲間との熱い団結もあったりで、とにかくクライマックスに向けての展開はどのルートでもドラマチックで映画のようでした。

ストーリーマップでサブキャラクターの動きや心情がとても良く分かる作りになっているのですが、敵側の事情については知れば知るほど切ない気持ちに……。

ジルの「皆、好き好んで道を誤るわけじゃないのに」という言葉がホントに的確で泣けてきます。

そしてここでもまた不意打ちで他作品のキャラたちが出てくる上にそのエピソードも微笑ましくて、いちファンとしてとても楽しめる作りとなっておりました。

この作品から入っても、他の作品から入っても楽しめるのが嬉しいですね。

・演出

ところどころ入るカットイン、ドキッとさせられることも多くてとても良い演出だと思います。

そして今回も音のこだわりが凄くて……!
学校のチャイムの音にしたって、そういえばウェストミンスターチャイムを採用してるのは日本だけなのかなぁと考えさせられたり。
ガヤの声もちゃんと外国語なのです、すごい……。

・キャラクター

みんな可愛いなぁ可愛いなぁと思いながらプレイしておりました。
サブキャラも魅力的なキャラが多くて、賑やかなシーンなんかは本当に楽しく思えたり。

ユーリが「自分の持ってるものとか、知ってるものとかでしか僕らが分かり合えないのだとしたらちょっと困る」(うろ覚え)と言うシーンがあるのですが切なげな横顔と相まってやけに印象に残っております。王子……。

アキームは苦労人だなぁと思いつつ、ユーリの世話なら焼きたくもなるよなぁという気持ちになってしまうのはなぜなんでしょう。

何だかずっとユーリユーリと言っておりますがロディスの翳りのある部分も大好きだったりします。
憂い気な表情が本当によく似合っていて、どのイベントCGでも本当に綺麗に描かれています。

「どうせならこの世の悲しいこと全部の方が儚い夢であればいいのに」というモノローグが切なかった……。

ロディとユーリのコンビは「2人でひとつ」という感じがしてとても微笑ましくて、心が温まりました。

ジルはとにかく後半でのギャップにやられましたね……表情がどれも可愛らしくて。特に笑顔に心を打ち抜かれました。

そして、校内放送で息子を呼び出すエレオノーラ様。流石の一言です。

・グラフィック

全体的に瞳の色がとっても鮮やかで、見た瞬間にキャラの魅力を感じられるような気がしました。
時にはぶわっと鳥肌が立つことも。

立ち絵の数も豊富で、横顔や後ろ姿も用意されているため臨場感たっぷりです。
イベントCGもとにかく枚数が多く、「まだこんなに!?」と未開放のCG欄を見て思ったものです。

・音楽

基本的にほのぼのとしたシーンによく合うような穏やかな楽曲中心なので、いざという時に緊迫した感じのBGMが流れると「おおっ」となりました。

終盤は特に良い曲が多かったですが、特にエンディングの「マグノリア」は希望溢れる感じで歌詞も耳に残り易く、お気に入りです。

・総括

世界の優しさと残酷さ、どちらも余すところなく描かれておりとても印象に残りました。
今回も素敵なゲームをありがとうございます、次回作も期待しております……!